編集手帳

来年の風が遠慮であって欲しい

投稿日:2018年11月7日 更新日:

2018年11月7日付け「編集手帳」要約

キンモクセイほど強烈に一帯を甘く香らせる植物はないだろう。
道端で不意に芳香に出会うと、郷愁を誘う。
ところが今年はそれがなかった。
9月に末に上陸した台風で、咲くや否や散った花が少なくなかったらしい。
ほかにも塩害によりイチョウの黄葉を邪魔したり、いまだに余波は収まらない。
ふだんの秋が恋しくなる詩がある。
〈もくせいのにおいが 庭いっぱい。
表の風が、御門のところで、はいろか、やまよか、相談していた〉
来年の風が遠慮がちに吹くことを。

-編集手帳

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