編集手帳

わかるかなぁ、わかんねぇだろうな

投稿日:2018年11月3日 更新日:

2018年11月3日付け「編集手帳」要約

〈おれがむかし夕焼けだったころ、弟は小焼けだった。
父さんは胸焼けで、母さんは霜焼けだった。わかるかなぁ〉。
「母さんは霜焼けだった」と言ったところで、目を潤ませる客がいるという。
松鶴家千とせさんは、福島県南相馬市の農家育ちで、母と畑仕事をした。
「母さんは霜焼けだった」は実話だという。
〈棄郷にはあらず於母影原は霧〉
霧がたちこめど、面影さまよう懐かしい故郷にいつか帰ろう…
原発事故で避難した人々のやるせない思いだろう。
「わかるかなぁ」が響いてきた。

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